2019年1月海外視察(学校教育ICT)レポート

帰国後すぐに東淀川区でタウンミーティングが開催されるため告知活動に勤しむなど、多忙を極めており公開が遅くなりました。

また、昨年のアムステルダムのレポートは長すぎてあまり読まれていないのではないかと思われるので…1本の記事にまとめてみようと思います!!

視察目的・概要

昨年、アムステルダムのイベントに日本人として初めて参加してきました。世界中の教育関係者が集まり、将来のあるべき教育の姿というものに関してディスカッションをしたりしながら共通認識を作り、各国で実践して次回その報告共有をしていくというような流れで、世界的に協力しながらチャレンジしていこう!!と思いをひとつにしてきたところです。

今回は打って変わって、日本国内に点在しているキーパーソンを集結させて団体を構成し、実際に海外の教育現場を生で体感したり、世界最大規模のICT展示会「BETT」に参加して最先端を体感したりした上で、キーパーソン同士での議論を深めていくというような感じでした。結論から言うと、大阪の未来や日本の未来にとって非常に重要な1週間になりました。

参加者を一部だけ紹介します

今回の参加者構成は、外部有識者(政府関連委員会メンバー)・教育現場(学校長)に加えて、インフラ系企業やサポート系企業の方も来られており非常に有意義な議論ができました。全員を紹介したいところですが、レポートが長くなりすぎるので、その中でも特に2名を紹介します(勝手にw)。

赤堀会長は業界では最重鎮とされる方ですが、非常に柔軟な考え方をお持ちで驚きました。初見のイメージとは全く違ったので、ディナー中の討論中に「すみません、日本の教育ICT業界のことを正直ナメてました!!笑」とカミングアウト。。。笑

僕のような若輩者に対しても、「関西のキャラクターって感じで良いね!!」と、受け止めてくださり感謝です。
各視察先でも多数質問されており、業界最重鎮の方の真摯なアタックぶりを見て、日本の未来は決して暗くないと確信しました。

佐藤先生はEdTech(Education × Technology)の分野における第一人者的な存在です。これまで僕が議論させていただいた方の誰よりも、この分野における議論経験値が高いことがすぐにわかりました。この出会いは衝撃でした。

今の僕の姿と過去の佐藤先生の姿が重なるということで、無条件で応援したいとおっしゃっていただきました。佐藤先生とはホテルのBARの閉店時間を過ぎても話し込むぐらい色々議論させていただき、志や理念の部分が完全一致していることがわかりました。これから大阪において、更には日本全体において非常に重要なテーマがEdTechですが、その中心で活躍される方であることは疑いようがありません。

著書『EdTechが変える教育の未来』は必読です。

ちょっと調べただけで、とんでもない数の経歴がありました。笑

<政府の会議での委員歴、 その他活動>
・内閣官房 教育再生実行会議技術革新ワーキンググループ 委員
・経産省 未来の教室とEdTech研究会 座長代理
・経産省 学びと社会の連携促進事業 アドバイザー
・経産省 我が国産業における人材力強化に向けた研究会 委員
・総務省 先導的教育システム実証事業PMOプロジェクトマネージャー
・総務省 地域IoT実装推進タスクフォース 構成委員
・総務省 スマートスクール・プラットフォーム実証事業 評価委員
・内閣府 RESAS普及専門家 委員
・自民党 EdTech推進議員連盟 設立支援
・eラーニングアワード2018フォーラム 実行委員
・JMOOC将来構想検討委員会 委員
・千代田区立麹町中学校 学校運営協議会 委員長

まずは学校視察の感想から

今回、2つの学校(スウェーデンのマルモ地区にあるOxievångsskolan・ロンドンにあるTring School)に行きました。共通点は、1人1台ノートPCを所有している(家に持ち帰りOK)という部分。

完全に僕の主観的相違点は、
・プログラミング教育路線(スウェーデン)
・筆記用具アップデート路線(ロンドン)
という感じでした。

スウェーデン:Oxievångsskolan

この学校では1人1台環境(公が100%負担)が実現しており、そのデバイスを家に持ち帰ることが可能だということだったので、家庭の通信環境が気になって質問をしたところ、99%Wi-Fi環境があるらしいです。残り1%は家庭のスマートフォンなどのテザリングで対応しているとのこと。

これ、大阪で実現させられるかどうかは調査して見極めるか、もしくはLTE対応端末でSIM支給するか。ということになります。おそらく、後者の方が実現は早いです。

というのも、家庭のWi-Fi環境が100%ではない場合(多分100%ではないと思う)、そしてスマートフォンが無くてテザリングができないという家庭があった場合(多分あると思う)、家で宿題をして提出することができない子どもが存在してしまうことになります。こうなると、公教育を司る教育委員会が激しく抵抗することになります。だったら、最初からLTE対応端末にしてSIM支給すれば、その問題は解決します。そこにかかる費用を算出して、どう考えるかというところが今後の検討課題かなと僕は思っています。(ちなみに、佐藤教授と議論する中では、学校のWi-Fi環境を改善するほうが優先だという主張をされて、うーーーーん、、、となっています。笑)

既に大阪市も学校のWi-Fi環境を整備していってますが、接続できる端末が限定的であることや、それに付随する基盤整備事業が思いっきり高額になっている点など納得いかない点が複数あります。ここを改善した時に費用面でどのぐらいの変化をつけることができるか。LTE端末の方向性にしてWi-Fi環境をいっそのこと捨てるか、Wi-Fi環境を改善して捻出した費用を家庭向けWi-Fiバウチャーのような形で非対応家庭に支給するか…政治・行政的パワーの必要性などを考えれば僕は前者であるべきなのではないかと思っているのですが、この点についてもっと佐藤教授と議論したかったです。

そして、実は再来週あたりに再議論する機会を与えていただきました。(佐藤教授、よろしくお願いします!)

また、この学校では教科書を持ち運ぶ必要がなく、デジタル教材にシフトしていました。この点については赤堀会長が色々質問していたのですが、日本でいう「文科省に認定された教科書」のようなものを使っているわけではなく、すべてが「教材」ということで、教師自身が使いたい教材を使うという運用をしていました。そのため、日本で実現するなら「文科省に認定された教科書(デジタル版)」のプラットフォームみたいなものが必要になりますね。その際、教科書の著作権等をどう考えるかという議論に突入したのですが、そこはサブスクリプション的な考え方でアカウント管理すれば担保できるのではないかなと思いましたが時間切れ。赤堀会長には後で個人的に見解をお伝えしておきました。

そして、プログラミング教育。

日本で実行するプログラミング教育は、プログラミング的思考を養うものなので「ビジュアルプログラミング」といって、ブロックを組み換えたりするようなものです。しかし、この学校では実際にJavascriptやPythonなどのプログラミング言語をコーディングするところまでやっているそうです。プロダンサーの動きをロボットに再現させる授業とかをしていると聞いて、驚きました。なんちゅー公立校や…

ちなみに、スウェーデンの学校がみんなこんな状況なわけではなく、最先端校ということで各国各地から視察依頼があるようです。

そして、校長先生はデジタル学校の作り方の本を出版されているようです。スウェーデン語で書いてるらしいので、日本語訳バージョンを切望しております。笑

ロンドン:Tring School

この学校でも1人1台環境(基本は家庭が負担、負担できない家庭には学校からレンタル)が実現しています。96%の家庭が自己負担していて、残り4%は学校からレンタルという形。学校からレンタルの場合は持ち帰ることができないということだったので、宿題提出などに課題が残るのと、その形はイジメを助長しかねないとか、いろんな意見が日本では出そうです。家庭負担をお願いするパターンの時は、負担できない家庭に対してバウチャー等で対応していったほうが良いかもしれませんね。

佐藤教授が「こうやって我々が視察に来るということは学校側も当然わかっているため、必要以上にデバイスを使わせようとするバイアスがかかることも考慮しなければならない」と言っていて、たしかにその通りだなと思っていたのですが、「この学校だけは確実に普段から使ってますね」という認識で僕と佐藤教授の見解が一致しました。笑

というのも、スウェーデンの学校の子どもたちが使っていたノートPCと比べて明らかに使い込まれてました。ちょっと割れてるところがあったり(笑)、汚れていたり。完全に、筆記用具のアップデート(鉛筆消しゴムノート→ノートPC)が完了していたのです。ただ、この学校では紙もペンも使ってました。そーゆーのも大事やん?みたいな感じで、飾らない感じが良かったです。子どもたちの勉強する環境は遅かれ早かれこうなるよね〜という少し先の未来を、この学校で見ることができました。

実際、授業の内容もブラウザベースの無料WEBサービスが駆使されていて参考になりました。例えば…

学習ツールと単語カードを無料で | Quizlet

Gimkit | Live Quiz Learning Game

Play Kahoot! – Enter game PIN here

educate

こんな感じのサービスを使っていました。大阪の学校視察してて見たことあるのは、Kahoot!だけです(多分)。要するに、クイズ形式で問題を問いていったり、個人戦やチーム戦でクイズ大会を開催したりなどができるサービス。やっぱり、こういうサービス使うことで楽しく学ぶことが可能だし、これぞ学校教育ICT時代の新しい学び方だと思います。

また、ここでは詰め込み教育という感じではなく、教員が予め用意しておいた設問に対してクイズ形式(自習形式)で回答していく。わからないところはググってOKみたいな感じの授業風景が目立ちました。教員は完全にteachからcoachにシフトしています。昨年オランダで世界中の教育関係者と認識を共有した未来型の教育現場がまさにここにあったという感想です。

BETTの感想

世界最大規模の教育ICT展示会、BETTに参加してきました。全体的な感想としては、佐藤教授とも認識が一致していますが「世界最先端でも、このぐらいなんだな」というところ。これはネガティブな感想でもなく、まだまだ成長する余地がありそうだという意味です。ロボットをプログラミングで動かすというようなアプローチは、もう見飽きているわけです。それ以外のアプローチが見たい。新しいEdTechの価値を感じたい、というような意味です。

その中でも、VR(Virtual Reality)から更に進化したMR(Mixed Reality)は体験としては面白かったです。

こんな感じで、自分の手をVR内で認識できるわけですが、教科によっては革命的な応用もありえるのではないかと感じました。スポーツとかでも応用できるんじゃないかなぁと思いました。

BETTの感想について佐藤教授と話していたのですが、結構色んな国がナショナルブースを出していたんです。日本としてもナショナルブースを増やしていって、EdTechを輸出していくような取り組みが必要だよねという話になりました。ただ、その際はロボットとかでは面白みもないしどうするのかという話を僕がすると、実は日本には面白い取り組みをしようとしているところがあって、そういうところを集めたイベントをしようとしているので是非来てほしいとお誘いいただきました。

どうやら今、スタディ・ログ(勉強記録)を日本のEdTechの目玉にしていこうぜ!!みたいな話があるらしく、確かにその分野だとBETTとかで日本が輸出ブース出せば面白いと思うわけです。学校現場や塾、あるいは進学後の学校、色んな学びのセクションにスタディ・ログを引き継いでいければ、もっともっと良い世界観が生まれてきそうです。どこにデータを持たせるべきだろうか?という議論も佐藤教授としていて、佐藤教授は現時点でハッキリした結論を持てていないとおっしゃっていましたが、可能性としてブロックチェーンの活用も頭に入れておられました。

Googleロンドンオフィス

Googleロンドンオフィスには、世界旅行のような感覚で色んな学びを得るための仕掛けがあるフロアがあり(書いてて自分でなんじゃそれと思いますが、本当にあるんですw)、それを体験してきました。参加者全員にノートPCが手渡され(レンタル)、Google Classroomを使いながら学習もしていくというスタイル。世界の教育現場で使われているGoogle Classroomをちゃんと使ったことがなかった僕にとっては、それだけでも非常に良い経験となりました。

AI(人工知能)とML(マシンラーニング)についての説明を受けたり、具体的に開発されているツールを体験したり。

講師をしてくれたBenは、昨年のオランダのワークショップで僕のアイディアが採用されたことを覚えていてくれました!その紹介をしてくれて、嬉しかったです。笑

最後にみんなで感想を共有。良い時間を過ごすことができました。

まとめ

たくさんの知見を得ることができました。
実際に1人1台の環境を実現した後、どういった教育現場になるのかという具体像をこの目で見ることができたことは、今後の学校教育ICT政策に大きく影響を与えると思います。EdTechの現時点での世界的な進展具合を知れたこと、そして日本のEdTechで今後起こそうとしているムーブメントを知れたことも非常に有益でした。

でも、なによりも一番は出会いです。
赤堀会長や佐藤先生だけではなく本当にたくさんのキーパーソンが参加されており、様々な議論ができたことが何よりも大きな価値だったと感じています。またみなさんとは日本のどこかでお会いして、議論の続きをしたいと思っています!

大阪市でこれまで僕がしてきた議論に関連したことで言えば、学校教育ICTの未来を見据えた時に「タブレット」は適切かどうか?というテーマは気になるところでした。佐藤教授との議論の中では、やはりタブレットはインプット型のデバイスであり、これからの子どもたちにはアウトプット能力が必要なことを考えれば外付けキーボートを足すか、ノートPCという形にするかということになるだろうという話になり、僕もそうあるべきだと思ったところです。

また、プライベートクラウドの脱却(パブリッククラウドへの切り替え)に関して、文科省のガイドラインが足かせになっているという話を僕がしたところ、佐藤教授が「実は今年中に改変する予定になっている、あれはありえないよね」と反応してくださり、あのガイドラインをちゃんと読んでいて議論できる人がいたことに嬉しさを隠しきれませんでした。笑

赤堀会長も「パブリッククラウドのほうが最終的にはセキュア」という認識で、最先端で議論してくださっている方々の認識と僕の認識が一致していることに安心し、期待が膨らみました。

国(政府)は、大きな方針を示します。
そこの委員会メンバーである赤堀会長や佐藤先生がしっかり道筋をつけてくださった後、実行するのは自治体です。その段階において、僕のような存在がしっかりと議論をリードして政策として実現していくことが求められています。そして、政策を実行する段階において重要なのが教育現場です。今回は国内でも最先端の教育現場の校長先生が参加されておりました。現場視点からのアドバイスをいただきながら実現に向かっていかなければいけません。

大阪市が先進事例を示せば、他自治体も追随し、日本の教育が変わります。国内に点在するキーパーソンを集め、海外事例を一気に共有し、じっくりと議論ができる環境を与えていただいたGoogle for Educationチームに感謝を表明し、短くまとめようとしたのに長くなってそうな視察レポートとします。

視察日程

1/21(月)
飛行機移動(関空→北京→ストックホルム→コペンハーゲン)※日本時間1/22に到着
コペンハーゲンでGoogle for Educationと議論
コペンハーゲンのホテルに宿泊

1/22(火)
バス移動(コペンハーゲン→マルメ地区)
Oxievångsskolan視察
バス移動(マルメ地区→コペンハーゲン)
飛行機移動(コペンハーゲン→ロンドン)
参加者懇親会
ロンドン東部のホテルに宿泊

1/23(水)
BETT(会場:ロンドン東部)参加
参加者懇親会
ロンドン東部のホテルに宿泊

1/24(木)
バス移動(ロンドン東部→学校)
Tring School視察
Googleロンドンオフィス訪問
参加者懇親会
ロンドン東部のホテルに宿泊

1/25(金)
参加者一部帰国のためロンドン中心部に移動
参加者懇親会
参加者一部帰国
ロンドン中心部でGoogle for Educationと議論
ロンドン東部のホテルに宿泊

1/26(土)
市政報告会inロンドン開催
飛行機移動(ロンドン→仁川→関空)※日本時間1/27(日)に帰国

世界最先端の学校教育ICT視察のため、欧州へ行きます。

昨年は、Googleからの招待を受けてオランダへ行きました。
関連レポート記事は下記の通りです。

日本人初!Googleの教育イベントに招待されたのでオランダに行ってきます。
【時系列編】Forword with Google for Education参加レポート
【講演内容編】Forword with Google for Education参加レポート
【ワークショップ編】Forword with Google for Education参加レポート
【今後の展望編】Forword with Google for Education参加レポート

アムステルダムでは各国の教育関係者達と意見交換を行ったり、各国の最新事例や今後訪れる新しい時代に対応するためのマインドセットなどについて共有してもらうなど、非常に有意義な時間を過ごしました。その後、議会での質疑にも反映しました。将来の大阪市の学校教育ICTについて、大きなビジョンをキチンと描いていかなければいけない、その際は行政サイドだけで描くのではなく民間などから広く協力をもらうべきであるということなどを指摘したところです。ビジョンについては来年度、示される予定です。

現地視察・Bettへの参加が決定しました

そしてこの度、Googleからの招待を受けてスウェーデン(Oxievångsskolan)・ロンドン(Tring School)での現地視察・Bettへの参加が決定しました。
これまで僕は大阪市内の学校で行われている学校教育ICTの現場に何度か足を運んでいるため、実際に日本より学校教育ICTの取り組みが進んでいる国で行われている授業現場に行くことで、共通点や参考にすべき点などを発見できるのではないかと期待しています。

Bett(British Educational Training and Technology)は、年1回ロンドンで開催される世界最大規模の教育ICT展示会で、世界各国からEdTech(Education × Technology)関係者が集まります。4日間の開催で4万人以上が来場するらしいです。日本の教育ICTの展示会よりも、おそらく最先端のソリューションがたくさんあるのではないかと期待しています。

視察レポートはオランダの時と同様、書けるだけ書いていきます。目標は、行ってなくても行った感じになれるレベルのレポートですね。

現地からYouTubeでの市政報告会も行います

2019年1月26日(土)17:00-18:00(日本時間:予定)

今回も、徳田議員と一緒に行ってきます!
1/21(月)出国〜1/27(日)帰国というスケジュールで、その期間中は僕と徳田議員が大阪を離れます。大阪・日本の教育をアップデートするための一石を投じるべく全力で頑張ってきますので、ご理解をお願いいたします。

【今後の展望編】Forword with Google for Education参加レポート

先日のブログでも紹介した通り、Googleから日本人で初めての招待をいただき、「Forword with Google for Education」という教育イベントに参加してきました。速報としてYouTube市政報告会を行ったので、全体的な内容はこちらからどうぞ。

イベントの概要、そこで学んだこと、これからやろうと思っていることなどは既に速報としてYouTube市政報告会でお伝えしました。
書きたいことを自由に書き始めると長くなりすぎる懸念があるため、ブログでは
時系列編
講演内容編
ワークショップ編
・今後の展望編
の4つに分けて記事を書いていきます。

 

では、今後の展望編のスタートです。
今回得た知見を、どう扱っていくか。まずは、やはり大阪市の教育にどれだけ影響を与えられるかというところですね。

今回のイベントに求めていたことと、その成果

各国の教育関係者から、様々な共通認識を共有していただけました。
特に、「時代が変化し続けている中で、こどもに与える教育は我々が受けてきたものと同様で良いのか」という点については、参加前から僕自身ずっと疑問に思っていることで、これに対するアンサーを求めて長時間フライトに耐えたといっても過言ではありません。

特に、

子どもたちにとって大切なのは、我々の過去を知ることではない。広がっているバーチャルの世界に生きていくんだから、デジタル時代の中でどのような教育をしていくべきなのか。我々の過去を教えるのではなく、子ども達の未来を教えるべき。学生の将来のために備えてあげる。75%の今の職場はなくなっている。我々はロボットを教育するのではなく、ファーストクラスの人間を教育する。AIに足りない部分を人間に教育するということ。こういう世界に向けて、我々は準備をしていくべき。若者の中でも、明日の世界への準備ができていない子が多い。社会のスピードは加速している。テクノロジーがあるから、世の中がどうなっていくかを考えなければならない。テクノロジーと教育の競争が国レベルで始まっている。テクノロジーは今後どんどん伸びるので、次の時代はテクノロジーを考案できる教育が必要になる。

このあたりの言葉は僕の心をグサグサと刺します。ほんと、素晴らしいアンサーです。
あと、

ナレッジ、スキル。これは明日へ向けて必要なものであることは間違いない。しかし、ナレッジは補完することができるようになっている時代だ。私は、とりあえずわからないことがあったらググれと生徒に言う。ほとんどの知識と情報というのは学校の壁の外にあるのである。歴史や年号などは重要ではない。社会への洞察力が重要。いかに使いこなすか、という力が大事。他の人と連携して働くことができる、情緒的なスキル。勇気、リーダーシップのような能力。ソーシャルスキル。これが非常に大切になってくる。

このへんも、すごく良いなと思いました。

いかにして政策提言していくか

ただ保守的に、これまでのことを繰り返すのではない。新しいものを取り入れて、古いものを切り捨てる。そういう政策を、政治家が推進していかなければならない。

こんな言葉もありました。本当に、おっしゃる通りです。大阪のみならず日本全体でカナリ危機感を抱かなければいけないような状況です。政治家という立場で参加させてもらっている以上、僕には何らかの動きをする責任が伴っていると感じていますし、そのために必要な情報を各国の教育関係者からたくさん与えていただいたと思っています。

加えて、ただ単に講演内容をまとめればこういうことだよね的な政策提言ではいけないと思っています。国によって、事情は違います。でも、だからこそ逆手に取ることができるものもあるんじゃないかなって思ったりもします。とにかくしっかりとしたボールを投げて、議論に発展させていくことが今僕自身に課せられている使命だと肝に銘じて、政策提言をしていきたいと思います。

画一的、統一的な日本の教育を逆手に取り、テクノロジーを活用した効率化を図るべき

まずは、テクノロジーによる効率化です。
講演内容編を読んでいただいた方(長かったのにありがとうございます)なら理解されていることかと思いますが、教員が学生に与えるべきものは「我々の過去やナレッジ」ではもうないと言えるでしょう。そんなものは、検索すればヒットする時代です。社会に出た時、100%のナレッジを求められることなんてありません。Googleの採用担当者ですら、「人々が100%のナレッジを持っていること、というのは入社時には期待しない」と明言しています。「これからの社会に必要なスキル」を身につけさせてあげることこそが、現代の教育に求められていることであり、それを実現するためには教員と学生の関係性・信頼性、つまりエンゲージメントの構築が必要であると、各国の教育関係者からは示唆されていました。

しかし、それを大阪(日本)で実現しようとすると、まずは教員の数が足りていないという問題にぶち当たります。今、すでに限界の状態なのです。ここから更に何か新しいミッションを与えるというのは無理筋ですし、そうすべきではないでしょう。では、どうすればよいか?ここに、テクノロジーを取り入れる大義があるわけです。

まずは、教員の負担軽減という文脈での効率化。具体的には、カーン・アカデミーの大阪(日本)特化バージョンを用意し、知識を詰め込むという作業はそこに一義的には丸投げをするべきではないでしょうか。教員がカリキュラムをゼロから作ったりする必要はありません。だって、どうせ学習指導要領の通りにやらなきゃいけないし、教科書も指定されてるし、そもそも自由度なんてほとんどないんです。画一的、統一的な日本の教育がダメだ!という意見があるのも十分承知していますが、そこを変えるよりも随分と政治的なパワーを使わずに実現でき、教員にとっても負担を軽減でき、学生にとっても教員の質に一切左右されることなく画一的、統一的、公平、公正、平等に知識を得る機会を与えることが可能です。

吉村市長が学力テストの件で打ち出した方針に、現場から反対の意見がたくさんあることを僕自身も承知していますし、思うことがないわけではありません。(ただし、学力の経済学の著者である中室牧子氏 ※大阪市総合教育会議有識者 の教育に対するエビデンス重視の考え方には賛同しています。制度設計に深く関わっていただきたいと願っています)

反対意見の中には、「学校は学力だけを養う場所ではない、それだったら塾にだけ行けばいいということになる、他の能力を伸ばすことも教員の仕事なんだ」という意見があり、それも最もな意見だと僕は感じています。なので、「学力を養う」という点において、一義的には先述のような方法で補完すれば良いのではないでしょうか。他の能力を伸ばすことこそが現代の教員に求められていると仮定するなら、余計にそうすべきだと僕は思うのです。そして、今回のワークショップで出たアイディアのように、動画を見ている生徒の理解度を判定するロジックを機械学習のテクノロジーを使って搭載させておく。そして、そこから得たデータから学生1人1人の学習理解状況に応じて、「超・習熟度別学級」をバーチャルで構成する。

習熟度別学級は、「学力の経済学」でも指摘されていましたが、学生の学力を向上させるという目的の施策において、コストパフォーマンスがとても高い施策だとされています。しかし、現在の大阪市の習熟度別学級が一体どういう状況かと言うと、実は厳密な習熟度別学級の構成になっていないのです。「うちの子どもはもっと出来る」という親の願望・クレームも作用していますが、最終的には教育委員会が腹を決めることができていないので、厳密な習熟度別学級というものが実現できていないというのが現状です。

母集団が少ない中で構成しようとすると、習熟度にも幅が当然出てきますし、本当の意味での習熟度別学級を求めるなら、テクノロジーの力を利用して、先述したような「超・習熟度別学級」をバーチャルで構成し、バーチャル教員が本当にそのレベルに合った授業を行えば、同じところでつまずいている学生で構成されている集団のため、教えるべきポイントが絞られているという状況からスケールメリットを出すことが可能になり、1人の教員につき40名という縛りなど必要なく、一気にかなりの大人数を相手にすることが可能になるのでは?と思っています。そして、それは最終的に「学力の向上」にも寄与するのではないかと思うのです。

教員同士の横の関係性が非常に大切だという指摘も、各国の教育関係者から共通していた内容でした。テクノロジーの力を活用することができれば、1つの学校という単位に縛られなくても、市単位・国単位でも横のつながりを作ることが物理的には可能です(あくまでも、物理的には)。みんなで「教育という事業」を行っている、という状態を作ることが大切だという指摘もありましたが、テクノロジーの力を活用することで光が見えてくるのではないでしょうか。

こうした効率化で教員に絶対的に求められる仕事量を80%でマネジメントし、残りの20%を教員同士の学び合いに使ってもらう。そういうことが必要だと僕は今、感じています。

教員をモチベートするためのスモールサクセス

イノベーションとは、アイディアに対してリスクを取らなければならないものだという指摘がありました。本当に実現するためには、教員の方も教育委員会の方も、そして我々政治家もリスクを取らなければいけません。常にイノベーションは、居心地の悪いところから始まる。だからこそ、みんなをモチベートするために手の届く目標、スモールサクセスが必要ということになります。

このスモールサクセスを具体的にどのようなものにすべきか、その答えを僕は今持ち合わせていません。というのも、これは現場の声を吸い上げながら決めないと、手の届く目標になりえないからです。僕の物差しだけで決めて良いものではないと思うので、このへんに関しては広く議論をしていきたいと思っています。そんな中であえてひとつ提言するならば、まずは個々の教員がカリキュラムを作ることをやめること。なにかを新しくやるわけではなく、やっていたことをやめる方向性のほうが実現しやすく、それによって生まれた時間を1人1人の学生に使ってみる、ファシリテーターへの転向という実践によって教員と学生のエンゲージメントが向上するというスモールサクセスを得ることができるのであれば、一歩目として素晴らしいのではないかと考えています。

大切なのは、

「教師たちは2週間ごとに不安になっている、しかし状況は常に変わっていくもので、それが当たり前だ。」

この文化を大阪(日本)でも当たり前のものとして捉えるマインドセットでしょうか。

プライベートクラウドからの脱却、パブリッククラウドへの移行

これは昨年から大阪市会での質疑で僕が取り組んでいるテーマでもありますが、やはり今回さらなる確信を得ました。すぐにでも、今の古い考え方を捨て去るべきです。昨年のやり取りの中で、サーバーは国内に置かなければならず、パブリッククラウドではそれが担保できないというような主旨の回答がありましたが、例えばGoogleの場合はプラットフォーマーとして国内サーバーでの限定運用が可能だとしており、実際に事例もあるようなので乗り越えられる壁です。セキュリティの可用性・それに伴う本当の意味でのセキュリティという観点から見ても、現在のプライベートクラウドの運用よりもパブリッククラウドへ移行したほうがリスク低減につながると思いますし、その壁を乗り越えることで教員にとっても学生にとっても、保護者にとっても利便性の高いツールを使用することが可能になります。

教員から配られたプリントを家に持って帰って親に見せるのを忘れていた、それに伴う連携ミスで学校側と保護者側での意思疎通がうまくいかないなんていう、この時代にナンセンスで愚かな現象も未然に防ぐことができるようになります。わざわざUSBメモリを使用する必要性もなくなるため、教員がUSBメモリを紛失して個人情報が流出するという避けようのないヒューマンエラーも仕組みにより防ぐことができるようになるでしょう。

教育委員会とベンダー間の関係の見直し

各国の教育関係者が、この問題については共通の悩みを抱えていることがわかりました。特にスイスでは既にそれ専用の職業が出来るなどしているということも、紹介しました。大阪市やオーストラリアのキャンベラにおいては、現在やられ放題の状況にはなっていないものの、あくまでも属人的な対応ということです。

例えば、現在大阪市に納入されているタブレット端末はWindowsタブレットです。公開授業に参加させていただき実際に授業も見ましたが、動作もモッサリしているし、授業で使っているアプリケーションは社会でどの程度使われているアプリケーションなんでしょうか。そもそも、教育ICTに必要な機能とは一体どのぐらいの範囲なのでしょうか。

例えば、皆さんがパソコンの購入を検討したとします。どのぐらいの予算で、どのような機能を備えたパソコンを買いますか?という話です。一言でパソコンと言っても、値段の幅は広いですよね。例えばMac Proを買うとすると、30万円とか40万円とかです。一般的なユーザーは、高い!買わないよ!となるでしょう。でも、映像編集の仕事をするような人からすると必要なスペックになりえるのです。そこで皆さんは思うでしょう、「別に映像編集とかしないし!」と。だから、必要な機能だけ備えておいてくれたらいいよ、と。まさに、そのことを言っているわけです。教育ICTに最低限必要な機能とは、一体どのぐらいのスペックなのだろうかと。

動画編集は必要ない、画像編集も必要ない、表計算や文書作成、プレゼンテーションは使いたい。それなら、ブラウザベースで使える表計算や文書作成、プレゼンテーションは既にMicrosoftもGoogleもリリースしています。あれ?もしかして、ブラウザだけしか使わない?それなら、ブラウザベースのOSでもいいんじゃないの?となる。つまり、Chromebookが最もコストパフォーマンスが高いのでは?と。ちなみにこの思考回路で、既にアメリカやスウェーデン、ニュージーランド、カナダではChromebookが教育現場でのトップシェアになっています。

僕は教育委員会を責めているわけではありません。そりゃ、そんな専門的なことわかるはずがないんです。ベンダーを責めているわけでもありません。そりゃ、儲けなきゃいけないですし。でも、税金の使い道として決して少なくない額の予算が割り当てられているこの領域において、現在の関係性が良いとは、僕には到底思えない。本当に教育現場に必要とされているものは一体なんなのか、今一度、学生目線に立って考えていくべきです。キャンベラの学生たちが立ち上がり、当時の納入デバイスの起動時間と、求めるデバイスの起動時間を比較した動画を作ったように。僕、作ろうかなw

Googleと私学校にお願いしたいこと

これは大阪市会議員という職責からは到底手の出しようがないところになりますが、Teacher Centerで得られる認定プログラムを私学校教員採用でアドバンテージと認めてもらえるような動きを、Google及び私学校側で推進していただけると、その波はきっと公立校教員にも波及するだろうと思っています。とにかく、これからの時代を担う教員としての箔がつくような認定プログラムとして広く認知され、こぞって教員が認定プログラムを取得するような流れを作ることができれば、全体的な底上げにつながっていくよねという考え方です。

なんで先生になりたいと思ったか?子供に何かを教えたい、それが教育の原点でしょ。それがモチベーションなら、解決できるんだよ。成長、発展、そういうマインドセットを持っていれば教師も育っていける。

この言葉を重く受け取っていきたいです。

最後に

今回、Forword with Google for Educationに参加させてもらって本当に良かったです。各国の教育関係者達とこれからもつながりを維持していきたいと思いますし、参加者の皆様もそういうことを思っているようです。各国の教育関係者たちがもっと日常的に、新しく取ったリスクやその結果を共有し、この激動のテクノロジー時代を生き抜いていく全世界のこどもたちのために出来ることを考え抜いて、提供していく流れを加速させていきたいなと、心から願っています。

そして、多分もっと書けることはあると思うんですが、ある程度ホヤホヤの状態で出すことに意味がある(インテリジェンスリスクテイキング!)と思うので、とりあえずこの状態で公開します。フィードバックをお待ちしています!