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質疑:スマートメーターについて


今日は、スマートメーターについて質疑した内容を書いていきます。

質疑の概要

吉村市長が年末に表明した通り、大阪市全体の方針として、最先端ICT都市を目指すというものがあります。
水道局においては、平成27年度と28年度に行っている「メーター検針の効率化にかかる無線通信実証実験」、いわゆる「スマートメーターの実証実験」について、というところが該当。

これは、Internet of things、略してIoTの分野ですね。
この言葉自体はよく耳にされているかと思いますが、要するにモノに対して通信機能を持たせるということです。
つまり、水道メーターに通信機能を持たせることができれば、検針作業そのものが必要なくなるという。まぁそういう未来を目指した取り組みです。

詳しくは質疑の動画をご確認ください。

質問:スマートメーターの進捗状況について

資料によれば、左の写真にある発信機(子機)から右の写真の集約装置(親機)まで無線で通信を行う実証実験とあるわけなんですが、

・具体的にはどのような実験を行ったのか、
また、
・その結果どんな事が分かったのかを、

平成27年度からの経過が分かるようにお答えいただきたいと思います。

答弁:スマートメーターの進捗状況について

スマートメーターを実現する上で、水道メーター設置場所から発信する通信の電波が確実に集約装置に届くことが最も重要であることから、平成27~28年度は、通信の電波に関する技術的な検証として実験を実施してきた。

平成27年度の実験では、50か所の実際の水道メーター設置場所に発信機(子機)を設置し、920MHz(メガヘルツ)帯と2.4GHz(ギガヘルツ)帯の2つの電波周波数帯、並びに、各戸の子機間をリレー方式で集約装置(親機)まで通信するマルチホップ通信と、子機から親機へ通信する直接通信の2つの通信方式について実験を行い、子機が発信する電波強度や子機の消費電力などを計測した。

実験の結果、最も有効な通信は、920MHz(メガヘルツ)帯での直接通信方式で、通信距離は最長で約60メートルという結果であったが、この通信距離では親機が4万~5万台も必要となり、実用化するにしても多額の資金が必要になり、とても費用対効果は見込めない。

親機の台数を減少させるには、通信距離を伸ばす必要があることから、平成28年度の実験では、平成27年度の実験で最も有効な通信であった920MHz帯の直接通信方式で、さらに省電力で数kmの通信が可能な新しい無線通信規格LoRaWAN(ローラワン)を採用し、通信距離の延長の可能性を検証する実験を行っている。

今年度の実験では、昨年12月~今年1月に、市営住宅・商店街・戸建住宅・地下街・工場地帯の150か所に、一定の周期で親機に自動通信するよう設定した子機を設置し、子機が発信する電波強度や子機の消費電力などのデータを、1月中旬~3月中旬の約2か月間収集しているところである。

現時点では、市営住宅の鉄製扉があるパイプスペースから最長で約800メートルの通信ができている。また、地中に設置のメータボックスで蓋が鉄製の環境において、戸建住宅では最長で約200メートル、工場地帯では最長で約300メートルの通信が可能であることが確認できている。

商店街や地下街など、夜間にシャッターが閉まるといった時間帯による環境の変化があった場合でも、検針業務には支障のないレベルで通信に成功しており、実験の結果については、3月末を目途に取りまとめる予定である。

まぁ、要するに平成27年度の実験では、発信機(子機)と集約装置(親機)との通信距離が最長で約60メートル。

そして今年度の実験では無線通信規格LoRaWAN(ローラワン)を採用し、市営住宅では最長で約800メートル、戸建住宅では最長で約200メートル、工場地帯では最長で約300メートルと、通信距離が飛躍的に伸びたという結果が出ているという話です。

だいぶ進化してるぅ!!という話ですね。

質問:最終年度の取り組みについて

平成29年度は実証実験を行う最終年度と聞いているわけなんですが、平成27年度と28年度の実験結果を踏まえ、

・平成29年度はどのような実験を行う予定なのか
お答えください。

答弁:最終年度の取り組みについて

平成27~28年度の実験結果から、通信状況については検針業務に支障のないレベルで通信に成功しており、残る検証課題としては、通信時の検針データの情報漏えいやウィルス感染などが発生しないような通信のセキュリティ確保に関しての検証が必要であることから、平成29年度は実証実験の最終年度として、通信のセキュリティ確保を主な目的とした実証実験を行う予定である。

例えば、親機に対するサイバー攻撃により、検針データの収集の遅延や検針データを収集するネットワークへの影響、通信上の情報漏えい・ウィルス感染等のリスクが考えられる。そのため、実運用を想定したセキュリティ対策等を確認するために、子機からは暗号化した通信で親機にデータを送信し、子機からの通信のセキュリティが確保されていることを確認する。

また、通信方式については、平成28年度に引き続き920MHz帯の直接通信方式で無線通信規格LoRaWAN(ローラワン)を採用し、平成28年度の実験で電波強度の弱かった40か所に、親機へ一定の周期で自動通信する設定の子機を設置し、夏頃の気温や降水量が子機の電波強度や消費電力に与える影響についてのデータを、夏から秋にかけての約3~4か月間収集する。

あわせて、電子式メーターに子機を接続し、実際のメーター指示数と子機が送信する検針データとの乖離が無いかを確認する実験も行う。

つまり、平成29年度の実験では実証実験の最終年度として、
・通信の暗号化など通信のセキュリティ確保を目的とした実験
に加えて、
・夏頃の気温や降水量の変化が子機の電波強度や消費電力に与える影響、
・実際のメーター指示数と発信機(子機)が送信する検針データとの乖離
についての実験をするということでした。

実際に導入するとなれば、しっかり実験をしたものでないと困りますからね。

質問:パイロット導入について

それでは、平成29年度の実証実験の結果で大きな問題がなければ、
・平成30年度からスマートメーターを導入することができるのか。
という部分を教えていただけますでしょうか。

答弁:パイロット導入について

スマートメーターの実験については、平成27年度の周波数帯と通信方式の確認から始まり、平成28年度は新たな通信規格を採用し通信距離の延長の可能性を確認しており、平成29年度は技術的な実証実験の最終段階として、通信の距離と確実性、気象状況が電波等に与える影響とともに、通信のセキュリティ確保について、実証実験を行う。

現時点では、全ての実証実験を終えたうえで初めて費用対効果の検証を行うことができることから、平成30年度に水道用スマートメーターや親機の必要台数を精査し、無線通信ネットワークの設備も含めた投資額、及び維持管理費等の総事業費の算定に向けた調査・検討を行う予定である。

総事業費の算出、費用対効果等の検証の結果、導入することにメリットがはっきりと見いだせることできれば、段階的な導入の検討も考えられるが、導入に向けては、水道用スマートメーターに係る費用の抑制が大きな要素になると考えている。

したがって、平成30年度以降は導入に向けた具体的な調査・検討を行うとともに、3年間の実証実験で得られた知見・成果を、スマートメーターの導入に向けて本市と同様に実験中、あるいは実験を検討している他都市水道事業体に広くPRし、今後、水道用スマートメーターの開発・普及が促進され、水道用スマートメーターに係る費用が低減するよう、他都市水道事業体との情報交換や連携に努めてまいりたい。

という答弁で、要するに「コストもっと下がってくれないと厳しい」ということのようです。
このやり取りを受けて、僕が述べた要望は下記の通り。

要望

冒頭でも触れました通り、IoT社会というのは見据えていく必要があります。
大阪市は最先端ICT都市を目指していくわけですし、これからの人口動向を考えると、労働人口の減少による影響も想定しなければいけません。現在のような人手による検針についても、いずれは人員の確保が難しくなるかもしれません。

現在はコスト面で見合わないというところが課題ですけれども、いつかはコスト面の課題もクリアして、スマートメーターが普及していくような未来になるだろうと思います。

大阪市はその先陣を切ってほしいんですよね。
吉村市長が編成した来年度予算では、最先端ICT都市装備予算でしたか、そのような名前をつけてまで、いくつかの先進的な項目に予算計上されています。

その中には、行政オンラインの調査予算も入ってます。
平たく言うたら、これが本格的に実現に向かっていけば、住民は役所に行く必要がなくなるということですから。
公務員の就業時間に縛られることなく、24時間365日、インターネットを経由して家から役所にアクセスできて、窓口対応はAI(人工知能)がやると。

そんな未来を見据える、最先端ICT都市・大阪市ですから、水道のスマートメータ化についても当然しっかりと備えておいてほしいと思います。

というところでですね。
平成29年度で技術的な実証実験は終えるということですけれども、導入の可能性に関する検討については、引き続き他都市とも連携して継続してもらいたいですし、早期の実現を目指していただきたい旨、要望をしておきます。

早くこんな未来になればいいな〜と、切に願っています!