前回の記事に対する反響が予想以上にありました。
はてブのホットエントリにまで入るとは。。。
で、たくさんあった反響の中で最も多かった声はなにかというと、結局、
「議員なら予算つけるために動け」
というものでした。
僕の説明が不足しているという指摘も見受けられました。
確かに、地方議員の仕事ってあんまり知られることはありませんし、説明が足りていなかったと反省いたしました。
もう少し詳しく説明すべきと思いました。すみません。
というわけで、補足記事を書いていきます。
タイトルの通り、まず共通認識として持ってもらいたいことは、
・予算をつける権限なんて、地方議員は持ってませんよ
ということ。
もしかしたら、周りの地方議員が「あれは俺が予算をつけた」と吹聴されていたりするのかもしれませんが、地方議員に予算編成権はありません。
まず、権限として持ち合わせていないことを大前提としてご理解ください。
そして、予算には限りがあるということについてもご理解をいただきたいです。
少子高齢化の進行によって、税収は減っていっています。
しかし、福祉などの義務的支出は増えていっているのです。
その結果、大阪市の場合、予算編成時にまず200億円足りない。
そんな状態からスタートしているのです。
未利用地を売却したり、現在行っている事業を見直したりしながら財源を捻出し、借金を減らしながら、優先順位の高い事業に予算をあてていきます。
その結果出てくるのが、予算案です。
その予算案をチェックするのが、我々地方議員の仕事です。
繰り返しますが、「予算をつける」ことが仕事ではありません。
「上程された予算案に問題がないかをチェックする」のが仕事です。
では、そもそも予算をつけることができる権限(予算編成権)を持つのは誰か?
地方自治体においては、首長です。大阪市なら、大阪市長ですね。
大阪市長は現在、吉村市長です。
では、吉村市長はプログラミング教育を推進したくないのか?と問われれば、それはノーです。
そもそも、市長選マニフェストにも「プログラミング教育を推進」と明記しています。
その下で、大阪市教育委員会もICT戦略室も、推進に向けて動いているのです。
それでも、来年度予算案には計上できなかったというのが現実の財政状況なのです。
既に、予算をつけるつけないの戦いはその時点で終わっていたのです。
一方、待機児童対策や子どもの貧困対策、幼児教育無償化(4歳児・5歳児)や医療費助成(18歳まで拡充)などは予算案に計上されました。
現実的に、これらの施策と比べてもプログラミング教育の優先順位は低くならざるを得なかったのです。
さて、ここまでの部分を理解していた人でも、こう言うかもしれません。
「直接市長に直談判しろや」と。
確かに僕は、吉村市長と同じ大阪維新の会に所属しています。
電話番号も知っていますし、直接話をすることも可能です。
ここを論点にしたい人もいたかもしれません。
しかし、よく考えてみてほしいのです。
吉村市長だって、プログラミング教育を推進したいのです。
大阪市教育委員会だって、ICT戦略室だって、推進したいのです。
それでも予算を計上できなかったんです。
僕は、厳しい財政状況もわかっているし、他に優先順位が高い施策があることもわかっています。
その上で、推進したいけれどもプログラミング教育の予算が計上できなかったことについて説明を受け、納得しています。
納得しているから、改めて直談判などしないのです。
そりゃ、お金が無尽蔵にあれば予算をつけてほしいと思います。
でも、そうじゃないんです。
予算をつけたかったけど、つけられなかったことを知っているから、納得しているんです。
2020年からスタートする、小学生向けプログラミング教育。
2017年時点で予算を計上する必要性、優先順位が他の施策と比べるとどうしても低くなってしまうというのは、周辺自治体も同じなのです。
それに予算をつけるなら、こっちの優先順位高い施策にもっと予算つけろよ!という声もまた、あがってくるものなのです。
この議論で僕が最も納得できないのは、
「自分の思い通りの行動を取らない議員は仕事をしていない」という曲がった解釈をされた点です。
僕は、予算がつかなかったことに納得しました。
納得してほしくなかったという人もいるのでしょうが、僕は納得したんです。
納得しなかったら仕事してることになって、納得したら仕事してないことになるなんて解釈、どう考えてもおかしい。
大体、この問題に関して発信してる大阪市会議員、僕だけなんじゃないですか?
86人もいるんですよ、大阪市会議員。
僕は少なくとも、担当から話を聞いた上で状況を説明しましたし、誤解されている部分は解消しようと努めましたし、こうしてまた追記の記事もアップしているわけで。
これでも仕事してないなんて、そんなこと言われる筋合いありませんよ。
ここまで読んでいただいた方なら、前回の記事についてわかっていただけると思います。
予算はつかないんです。つけられなかったんです。
他にもたくさんの重要な施策があって、削ることができなかったんです。
だから、予算はつかないというのが前提にあった。
その上で、教育委員会が
・なにもしない
のか
・なにか模索するのか
が論点だったという話なのです。
だから、この件に関する最も的確な批判は
「予算がないならなにもするな」
であると、再三言っているのです。
その中で、教育委員会は「なにもしない」ということを良しとしなかった。
この判断こそが論点なのです。
予算がつかない以上、教育委員会は貨幣という価値を提供することはできない。
でも、教育現場という価値を提供することができると考えた。
これをメリットと感じてくれて、一緒に取り組んでくださる会社があるんじゃないか。
もし、メリットと感じてくださるならば、手を挙げてくださいという募集をした。
もちろん、誰かに強制的にやれなど一言も言っておらず。
もし応募があるようなら、プログラミング教育に触れる機会を小学生に与えることができる。
なにもしなければ、与えられないのです。
教育委員会は、具体的には教材開発会社などにメリットを感じてもらえるのではないか、0社ならアプローチをまた考え直すとの見解だった。
決してプログラミングの教師をタダ働きさせようという意図ではないということが、話を聞いてわかった。
だから推移を見守ることにした。
ただし、最初の文章はまずかった。
炎上したのもわかるし、僕もこれはダメだと思ったし、そう発言もした。
後日、文章は訂正された。
そして先日結果が出た。
14社が決定した。
これにより、なにもしないという選択よりも、プログラミング教育に触れることができる小学生が増えました。
僕は、本当に良かったと思っています。
こんな状況なのにも関わらず手を挙げてくださった会社が14社あって、これから頑張っていこうとしている時です。
これからの中身などはしっかり僕もチェックしていきます。
ひとまず見守っていただきたいと思います。
どうか、よろしくお願いいたします。